
QIDI Plus 4 実機レビュー 第2弾|加熱チャンバーと冷却条件で強度はどう変わる?実践検証編
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はじめに
こんにちは、つくはるです!当店「3Dフィット工房」では、ロードバイク向けオリジナルパーツの設計・販売を行っており、日々3Dプリンターを使いながら製品開発を続けております。
今回は、実際に導入した3Dプリンター「QIDI Plus 4」の検証第2弾として、加熱チャンバーの効果や冷却ファン設定による強度変化、追加消費電力やカスタマイズのポイントなどをレビュー形式でご紹介します。
高フィラメントや業務用レベルの造形精度を求める方、QIDI Plus 4の導入を検討している方を参考になれば幸いです。
KlipperとInput Shaperで縦縞(VFA)対策
QIDI Plus 4はKlipper搭載機で、暫定加速度は10000mm/s²とかなり高速。 そのままでは縞が出やすいため、入力シェイパーの結果から安定上限となる4000mm/s²へ調整。
結果、縦縞は大幅に改善され、Prusa MK3SをKlipperに改造していた経験がここでも生きてきました。
引張強度テスト|チャンバー加熱と冷却条件による違い
テスト条件
●材料:ポリカーボネート(Prusament PC Blend)
●引張方向:積層方向
●積層ピッチ:0.12mm
結果(N=5の平均値)
1️⃣ チャンバーOFF/冷却FAN100% → 311N
2️⃣ チャンバー65℃/冷却FAN100% → 353N
3️⃣ チャンバー65℃/冷却FAN30% → 386N
🔍 参考:Prusa MK4S(冷却FAN12%)→ 303N
考察
加熱チャンバーを使用することで17%もの強度向上が見られ、冷却ファンを弱めることでさらに層間結合が強化されます。 また、ツールヘッド内部(GD32)の温度はチャンバーONの場合は80℃以上となり、実際の造形温度環境が大きく影響していると考えられます。
強度が求められるパーツ制作時において、QIDI Plus 4のチャンバー機能は非常に有効であることが数値で確認できました。
消費電力チェック|複数台運用の目安にも
QIDI Plus 4は加熱チャンバー搭載機ですが、実際の消費電力は想像以上にコンパクトです。
測定結果
●チャンバーON時(65℃)+ベッド(110℃)+ホットエンド → 最大510W
●平常時運転 → 約480〜500W
1系統に3台程度であれば、家庭用ブレーカーでも問題ないレベル。自宅や小規模オフィスでも運用可能な省エネ仕様は嬉しいポイントです。
冷却対策|温度も忘れられない
運用中にモニターで確認したところ、X/Y軸の温度が100℃を超える場合がありました。
対策内容
●大型ファンを別途購入 【アリエク:https://s.click.aliexpress.com/e/_oo0iEGi】
●Printableで専用ダクトを3Dプリント:https://www.printables.com/model/1148629-qidi-plus-4-rear-cover-for-7530-blower
●設定を変更しファンを常時ONに:https://github.com/qidi-community/Plus4-Wiki/tree/main/content/adaptive-main-board-cooling
結果、70℃前後に低減し、安定運用に貢献。 形状以外にも、多少の改善によって機器の寿命を延ばすことができます。
LAN接続対応|業務用途にも嬉しい仕様
QIDI Plus 4は引き続きLANに標準対応しており、Wi-Fi接続を制限している会社環境でも安心してご利用いただけます。
Bambu LabではX1EのみがLAN接続可能ですが、QIDI Plus 4ならこの価格帯で実現。法人や開発環境での利用にも適しています。
まとめ|使いながらわかる実力派
QIDI Plus 4は、11万円という価格帯でありながら:
●加熱チャンバー搭載(最大65℃)
●Klipper搭載でInput Shaperや自由度の高い設定が可能
●安定した出力品質と大型ビルドエリア
と、かなりバランスの良い構成。
X1Cのような流量自動補正はないものの、マニュアル調整で十分対応可能。 一度設定してしまえば、安定した品質で運用できます。
自分の用に機能部品を3Dプリンタで作る方にはコスト面、機能面でもQIDI PLUS4はおすすめできる機種と言えます。
AMAZONや公式サイトで購入可能です。公式サイトのほうが価格が安くなっていることが多いです。
今回は第2弾レビューでしたが、今後も使用を重ねながら、使用感なども発信予定です。